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【統合失調症とは?】
統合失調症とは主に青年期に発病し、幻覚や妄想などの特徴的な症状で診断される病気です。発症しやすい素質と心理社会的なストレスの相互作用によって発病するといわれています。具体的な成因に関しては、ドーパミンやグルタミン酸などの脳内神経伝達物質が関与しているとの仮説はありますが現在のところわかっていません。統計学的には、生涯で120人に1人が統合失調症を発病するといわれています。
【発病前の初期症状】
統合失調症の発病前には、以下のような症状が起こると言われています。
(1) 自生体験(自然に頭に考えが浮かんだり、空想が増えたりします)
(2) 気づき亢進(周囲の出来事などに特別な意味があるように感じます)
(3) 緊迫困惑気分(周囲に対する緊張感が増し、見られているように感じます)
(4) 即時的認知の障害(理解力や判断力、集中力、記憶力などが低下します)
これらが数ヶ月から数年続いた後、発病し急性期といわれる症状が激しい時期に移行していきます。
【統合失調症の症状】
代表的な診断基準では、以下の症状が少なくとも1つ以上あり1ヶ月以上持続することが診断の条件となっています。
(1)妄想(盗聴される、見張られている、嫌がらせをされる、噂をされている等)
→盗聴器やカメラを探したり窓に目張りをするなどの奇妙な行動が増えたり、
他人の仕草が気になって怒りっぽくなったり、自室に引きこもるようになります
(2)幻覚(いないはずの人の声や音楽などの幻聴、幻視、幻臭、幻味、体感幻覚)
→悪口や行動を注釈する内容の幻聴、噂をするような会話調の幻聴などのため、
独り言や独り笑いがみられるようになります
(3)解体した会話(頻繁な脱線や滅裂な内容の会話)
→会話内容に一貫性が無くなり、論理的な会話が困難になります
集中困難となり、他人に考えが筒抜けになっていると感じるようになります
(4)緊張病の症状
→経験がないほど激しく興奮して暴れたり、話さなくなる・動かなくなるなど
極端に反応が乏しくなる症状がみられます
(5)陰性症状(意欲がなくなる、感情や思考、会話の内容が貧困になる、疲れやすくなる)
→家事や仕事ができなくなりぼんやりと横になって過ごすことが増え、
問いかけへの反応も乏しくなります
【統合失調症の経過】
統合失調症は、発病前の前駆期を経て急性期、回復期、安定期と推移していきます。急性期は幻覚や妄想、興奮、思考障害など多彩な精神症状が、数週間から数ヶ月にわたり活発にみられしばしば入院治療を必要とします。病気であるという自覚がない事が多く、医療保護入院という強制入院が必要になることもあります。回復期には一過性の不安やイライラ、子供がえり、抑うつなどが数ヶ月間みられ、再発や自殺のリスクが高くなります。安定期にはいると大きな増悪は少なくなりますが、意欲低下や易疲労感などの陰性症状のために社会復帰が問題となることがあります。
【統合失調症の治療】
統合失調症の治療は(1)薬物療法、(2)心理社会的療法の2つに大別され、これらを組み合わせて治療していくことになります。
薬物療法は、主に幻覚や妄想、イライラなどの症状改善に効果があります。1990年代から非定型抗精神病薬といわれる副作用が少ない薬剤を単剤で使うことが治療の主流となっています。こうした非定型抗精神病薬は今までの抗精神病薬に比べて継続して服用しやすく、生活の質を改善するといわれています。副作用は少ないのですが、眠気、倦怠感、口の渇き、便秘、体重増加、月経不順などがみられることがあります。統合失調症は安定期に入っても再発率が高く予防的な薬物療法が必要不可欠となってくるため、主治医と相談をしながら自分にあった薬剤を選んでいくことが重要となるでしょう。
心理社会的療法は、(1)精神療法、(2)レクリエーション療法、(3)社会生活技能訓練(SST)、(4)家族への心理教育、(5)生活支援プログラムなどがあります。精神療法は本人および家族の方に行われます。発病後は本人、家族共に傷つき疲れ切っている状態です。感情に共感しこれまでの苦労をいたわるような態度で日々困っていることについてカウンセリングを行います。レクリエーション療法は、主に回復期に行われる治療で趣味やゲームなどを通して自己表現やコミュニケーション、ストレス発散、心身機能の回復などを目指します。社会技能訓練(SST)は、回復後に社会生活上みられる困難な点を認知行動療法の観点からうまくいく方法を考え実践していく訓練です。家族への心理教育は、家族教室やビデオ、個別の面接などで行います。統合失調症はうつ病などと比べても一般的な情報が乏しい状況です。また家族の本人への接し方が回復に影響するといわれています。そのため統合失調症という病気について理解を深めてもらい適切な対応をすることで、本人の回復はすすみ家族の精神的な負担も軽減されます。生活支援プログラムは、通所授産施設や小規模作業所などの職業リハビリテーション、援護寮やグループホームなどの居住サービス、地域生活支援センターや保健所の生活支援などからなり、安定期の社会復帰に向けて各種サービスを受けることができます。就労支援として障害者職業訓練センターやハローワークと連携して持続的な就労を目指します。
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