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〒761-8058 香川県高松市勅使町62-4
【社会不安障害とは】
恐怖症という病気をご存じでしょうか?エレベーターのような狭い所が苦手な閉所恐怖症、高い所が苦手な高所恐怖症、男性恐怖症といった病名は耳にしたことがあるかもしれません。閉所や高所、男性など特定の対象ではなく、授業や会社の会議で発言するような『集団の中で注目を集め、恥をかく可能性のある社会的状況』に対する過度の恐怖、不安感とそれによる諸症状を社会恐怖といいます。最近では、社会不安障害(SAD)と呼ばれ社会的に認知されるようになってきました。
様々な研究から生涯で社会恐怖に悩まされる方は、3~13%と報告されています。社会恐怖の発症の最盛期は、10代ですが一般に5~35歳までに発症します。また、うつ病や他の不安障害、アルコール等の依存を合併することも多いといわれています。当院では30歳前後で職場での求められる責任が大きくなったりお子さんを介しての交友関係が多くなったときに、これまで何とかやりくりしてきた方法が限界になってご相談に来られる方が多いように感じます。
【社会不安障害の原因】
社会不安障害の原因は、様々な研究においていまだ特定はされていませんが、成長過程における行動抑制の素因やアドレナリンやドパミンといった脳内神経伝達物質の関与が示唆されています。
【社会不安障害の症状】
診断基準では社会恐怖は『集団内で他者から注目されたり、変だと思われて恥をかくことに対する過度の恐怖』と定義されています。また、恐怖している社会状況に身を置くことで赤面や吐き気、頻尿、ふるえ、発汗といったパニック発作様の自律神経症状が起こり、症状のために自己評価は低下し深刻になるとうつ状態となります。最初は「性格的な問題」と考える方が多く、コミュニケーションや自己啓発の書籍を読んだり様々な民間療法を試みます。視線が気になりサングラスをする、赤面が気になりマスクをする、体臭が気になり香水をつけるなどの苦心の努力もほとんど成功せず徒労に終わります。症状が悪化していくと『周囲に不快感を与えているのではないか?』と更に不安が増すため、次第に恐怖を感じる社会状況を回避するようになり、生活習慣や学業、仕事、対人関係に影響して社会的孤立状態に至ることもまれではありません。こうした状態が長期間続くと対人関係におけるスキルが低下し、ますます社会恐怖は深刻化するといった悪循環が起こります。
【社会不安障害の治療】
社会不安障害の治療には、薬物療法および認知行動療法が有効とされています。薬物療法では、(1)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とよばれる抗うつ薬、(2)最小限のベンゾジアゼピン系抗不安薬、(3)βブロッカーなどが有効と言われています。但し、これらの薬物は二次的なうつ状態や手のつけようのない不安感、緊張感、急激な身体の反応は和らげてくれますが、社会恐怖自体を完全に消してしまうものではありません。注目を集めるような状況に順応しやすくしてくれる手助けのようなものであり、可能な範囲内で恐怖感を感じるような状況に身を置き練習をすることが必要となってきます。言い換えると『社会恐怖はハードル競技のようなものである。薬はハードルを低くする効果があるが、徐々にハードルの高さを上げて練習していく必要がある。』ということです。認知行動療法では、こうした練習の目標設定や不安や恐怖感に対する思考パターンを修正し、徐々に社会恐怖を軽減することを目的としています。
【最後に】
社会不安障害(SAD;社会恐怖)の症状は慢性に持続することが多く、社会的制限や苦痛を感じながらも「こういう性格だから」と半ばあきらめて受診に至らない方が多いといわれています。しかし、実際に受診し治療を受けることで対人緊張や社会状況に対する不安、恐怖感が軽くなり、その結果、社会活動が増え状況に対する耐性が強化されます。そうすることで徐々に自信が回復し、お薬も定期的な内服から「会議の前だけ服用」のようにお守り代わりのような存在に変化していきます。通院や服薬は、『頼る』という消極的な解決法ではなく、『人生の選択肢を増やし自信を持つ』ための積極的な解決法です。諸症状でお悩みの方はお気軽に受診してください。
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