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香川県高松市の心療内科・精神科。全人クリニックです。

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月経前不快気分障害(PMDD)

【月経前不快気分障害とは?】
 月経前症候群(PMS)は産婦人科の疾患概念で『月経前の数日間続き、月経開始後に無くなる身体および精神の症状群』のことです。月経前不快気分障害(PMDD)は月経前症候群(PMS)に関連した病態でこれまでWHOやアメリカの診断分類では『特定不能の気分障害』となっていましたが、2013年刊行予定のDSM-5では独立した診断基準が定められ今後は社会的な認知も進んでいくものと思われます。

【月経前不快気分障害の症状】
 代表的な症状としては、抑うつ気分や絶望感、著しい不安や緊張、涙もろくなる・拒絶されることへの敏感さなどの情緒不安定、怒りの爆発などがあげられます。他にも活動への興味の低下、集中困難、意欲低下や疲れやすさ、過食などの食欲の変化、過眠または不眠、自己コントロールが不能になる感覚、乳房の痛みや頭痛・関節痛・筋肉痛などの身体症状などがみられることもあります。
 注意するべき点として上記の症状はうつ病のものとほとんど同じですが、『月経前不快気分障害はうつ病やパニック障害、パーソナリティ障害とは異なるもの』であり、『月経前の直前1週間に症状が存在し、月経開始後の数日で症状が無くなる』『症状により仕事や学校、社会活動、対人関係を損ねている』ということが大前提となります。

【月経前不快気分障害の原因】
 原因に関しては様々な仮説があり、実態は明らかではありません。主な仮説としては、黄体ホルモンやプロゲステロン、セロトニン、GABA、グルタミンなどの脳内の神経活動が関与していると考えられています。

【月経前不快気分障害の診断】
 診断には、月経周期と基礎体温、精神面での変化(イライラや落ち込み、不安など)、身体面での変化(頭痛や肩こり、不眠、めまいなど)、服薬している薬剤などを記録していくことが重要となってきます。治療開始後も継続すると治療効果の評価にもなるでしょう。

【月経前不快気分障害の治療】
 軽度~中程度であれば、食事療法や運動療法、生活習慣改善などの非薬物療法が効果的です。また低容量ピルは心身の症状を改善する可能性があります。前述した月経前不快気分障害の症状が中程度以上あり生活に支障を来している場合には、SSRIを症状のある時にだけ又は毎日使用することも効果的と考えられます。日本では適応はありませんが、海外ではパロキセチン(パキシル)とセルトラリン(ジェイゾロフト)が月経前不快気分障害の適応を取っています。漢方薬や婦人科でのホルモン療法なども併用することがあります。数ヶ月の短期でSSRIを中断した時に再発する可能性が50%程度あるという研究もあるため、中期~長期的な気持ちで治療に取り組む必要があります。

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