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診察の場で「これって性格ではないんでしょうか?」と質問されることがよくあります。確かに不安や落ち込み、イライラなどの感情変化や悩むことは日常的であり、性格なのか病気なのか明確な境界線が無いため混同することが多く見られます。今回は性格と病気の違いとその関連性について述べたいと思います。
岩波辞書によると性格は「先天的な気質と後天的な影響による、その人の感情・意志などの傾向」とあります。つまり生まれつきの要素と人生の過程で獲得する要素から成り立っており、感情や意志に影響するものということです。心配性や神経質、臆病、内気、陽気、社交的、完璧主義、強情、短気、八方美人、飽き性など性格は十人十色ですが、それらは日々の生活の場での感情や意志に反映されており、自己や社会において受け入れられているものです。「自分はこういう人間だけど、これでやりくりしていこう」とこれまでの人生で得た経験から折り合うことができるものであり、その人らしさですから否定されるべきものではありません。
一方で病気の水準になると性格が影響する感情や意志がねじ曲げられ、本来のその人らしさが失われて苦痛に感じたり、合理的に解釈をしたり行動することが困難となります。
健康的な落ち込みであれば時間経過により考えを前向きに切り替えたり、合理的に処理されて回復していきますが、病的な落ち込みは漫然と長引き、他の思考の入り込む余地がなくなってマイナス思考がエスカレートしてゆきます。健康的な不安であれば解決をするための思考や行動(例えば経済的不安があるから貯金をする、危険予測があるから安全運転をするなど)が可能ですが、病的な不安は対処が困難であるため、動悸や呼吸困難などの身体化症状が起こったり、不安が高まる状況を回避する以外にない状態となり、結果として生活全般に大きな影響を与えます。許容できるものか否か、コントロール可能なものか否か、これが性格と病気の決定的な違いです。
また性格が影響する健康的な落ち込みや不安は、病的な落ち込みや不安と混在することがあります。そのため性格なのか病気なのかわからなくなることがあります。その時には、その感情や意志が許容できるものか否か、コントロール可能なものか否かについて考えると病的なものかどうかが判断しやすいでしょう。
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