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香川県高松市の心療内科・精神科。全人クリニックです。

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香川県高松市の心療内科 全人クリニック

パニック障害

【パニック障害とは?】
 パニック障害とは、予測無く突然起こるパニック発作の繰り返しを特徴とします。発作は急激に始まり、大抵は10分以内に頂点に達します。発作の頻度は、1日数回から1年に2、3回程度までさまざまです。統計学的には(1)生涯で100人中2、3人がパニック障害となる、(2)20歳代で発症することが多い、(3)女性が2~3倍なりやすいといったことがいわれています。

【パニック障害の原因】
 パニック障害の原因は、セロトニンなどの脳内神経伝達物質の異常といった生物学的要因や遺伝的要因、心理的要因、環境因などが研究であげられていますが、特定のものは限定されていません。ただ、パニック発作が繰り返し悪化していくことは、以下の思考過程で説明されます。

 パニック発作の引き金となる刺激(以前発作が起こったデパートや高速道路といった状況やわずかな身体の変化、何気ない考えなど)により心身の変化が起こり、それが脅威として自覚されると不安が生じます。不安は過呼吸や動悸、発汗といった様々な自律神経の症状を起こし、それが更に不安を強くします。同時に、前向きな考え方や現実的な対処法は、強い不安により邪魔されてしまい解決の手段が無くなります。強い不安や恐怖感と自律神経症状、解決の手段がない状況のため、ほぼ必ず死の予感、自制心の喪失や発狂への二次的な恐怖を伴う破局的な体験として解釈され、引き金となった刺激との関連性が強く印象に残ります。そして、再び刺激が起こるとより強い不安が起こり、自律神経症状が起こり・・・と悪循環により破局的体験の解釈は強化され、特定の状況や何気ない心身の変化などでパニック発作を繰り返すようになり生活に影響が出てきます。

【パニック障害の症状】
 症状は個々人で異なりますが、動悸、胸痛、窒息感(息が詰まる感じ)、めまいおよび非現実感(生活の中で受ける感覚が鈍くなる)などがよく起こります。突然急激な体調の変化が起こりますから、『死んでしまうのではないか』『取り乱してしまうのではないか』『発狂してしまうのではないか』といった日常生活で経験したことのない恐怖感が起こります。そして『また発作が起きてしまうのではないか?』といった不安や恐怖感(予期不安)から特定の状況、例えば電車や高速道路、ショッピングモールなどの場所を避けるようになります。こうした回避行動が多くなると生活自体に深刻な影響が出るようになり、外出ができなくなったり仕事を続けることができなくなったりすることがあります。

【パニック障害の治療】
 パニック障害の治療は(1)薬物療法、(2)認知行動療法が文献的にも有効と証明されています。まず薬物療法でパニック発作や予期不安を軽減してから、可能な範囲内で少しずつ認知行動療法を取り入れていくと良いでしょう。パニック発作や予期不安時の対処も面接の中で話し合います。リラクゼーションの方法、ヨガの呼吸法やポーズ、抗不安薬の上手な使い方などについてです。

 薬物療法ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が第一選択薬となっています。ベンゾジアゼピンを代表とする抗不安薬は即効性がありますが依存性もあるため必要最小限に使用していくべきです。治療開始後3ヶ月程度で諸症状は鎮静化してきますが服薬を止めることで再発することがあり、薬無しで調子を維持できるのは30~40%との研究報告があります。

 認知行動療法は(1)パニック障害の理解、(2)不安対処法の会得、(3)パニック発作の観察と捉え方、(4)不安状況への暴露(エクスポージャー)を柱とします。病気や体の変化に関して理解を深め、対処法を会得し、パニック発作が起こらないことに体を慣れさせることで症状の軽減を目標とします。例えていうならば(1)~(3)は準備運動、(4)はマラソンのようなものでしょうか。誰でもいきなり42.195kmは走れません。短距離から練習を積み重ね、走ることが可能であることを確認しながら5km、10km、ハーフマラソン、フルマラソンとステップアップしていき、安定して走れるようになった段階で薬物を徐々に減量して不安定にならないかを確かめる…という流れで治療が進行します。

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