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香川県高松市の心療内科・精神科。全人クリニックです。

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香川県高松市の心療内科 全人クリニック

うつ病

【うつ病とうつ状態】
 誰でも心配事があったり病気になったり重労働をしたりすると、普段よりもだるく感じたりイライラしたり余裕が無くなったり落ち込んだりします。こうした状態は日常的に起こる非常に軽い『うつ状態』といえるのですが、狭い意味での『うつ病』とはいえません。『うつ状態』が不安やストレスを主な原因として起こり症状も軽微であるのに対し、『うつ病』は原因がはっきりしないこと、症状も重篤になり自殺に至ることも多いため、正確な診断や治療が必要となってきます。近年、従来よりも副作用の少ない新規抗うつ薬が販売され社会的認知からうつ病治療の敷居も低くなってきましたが、専門医によるきちんとした診断や治療計画が早期回復に必要不可欠です。

【うつ病の症状】
 WHOの診断基準では以下の10項目が一般的な症状となっています。こうした症状のいくつかが2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があり医療機関への相談が勧められます。

(1) 気が重くなり、理由もなく落ち込んだり涙もろくなったりします。午前中や週明けに強くなるこ   とが多い症状です。
(2) これまでやっていた趣味などに興味が無くなり、楽しく感じなくなります。
(3) 疲れやすく何をするにも面倒になります。「鉛のように体が重い」と表現される方もいます。
(4) 集中力が低下して、考える事がうまくいかなくなります。高齢者の方の場合、物忘れがひどく認知症のようにみえることがあります。
(5) 何をやってもうまくいかなくなるような無力感を感じるようになります。
(6) 自分の失敗や弱点を過度に感じて、必要以上に自分を責めやすくなります。
(7) 生きていても何も良いことがないように感じ始め、将来を絶望するようになります。
(8) 「死んだ方がましだ」と思い、自殺のことを考えたり準備したりするようになります。
(9) 寝付きが悪くなり、ぐっすり眠ることができなくなります。早朝に目が覚めたり、夜間何度も目が覚めるようになることもあります。少数ですが過眠になることもあります。
(10) 食欲が無くなり、何を食べてもおいしく感じなくなります。症状が長引くと体重が減ってきます。焦燥感の強い方は過食になることもあります。

【うつ病の多様性】
 うつ病の症状については前述しましたが、症状の出方は非常に多彩です。落ち込みが強い、イライラする、身体の具合が悪い、意欲が出ず疲れやすい、眠れないといった自覚症状で気づく事が多いのですが、90%の方はうつ病とは思わずに内科や整形外科、耳鼻科などの身体の医療機関を受診して、原因不明で途方に暮れてしまうということがあります。思春期のうつ病では不登校や家庭内暴力の形で現れることもしばしばあります。また高齢者のうつ病では、物忘れの症状から認知症と誤診されることもあります。

【うつ病の原因】
 原因そのものは明らかになっていませんが、①学校や仕事、家庭、景気などの社会の変化による要素、②生真面目、几帳面、責任感が人一倍強いなど、物事を考える上で働く心理的な要素、③就職、昇進、退職、引っ越し、肉親との死別、体の病気など、自分を取巻く環境の変化による3つの要素が複合してうつ病が起こると考えられています。体の病気では特に、心臓病(20%)、がん(20~40%)、パーキンソン病などの難病(30~50%)といわれる病気がうつ病と合併しやすいといわれています。

【高齢者のうつ病】
 近年、高齢者のうつ病が増加していることが報告されており、認知症との関連についての研究が進んでいます。高齢者のうつ病は数年で10~50%が認知症に発展するとの研究もあります。若年発症のうつ病が認知症の危険因子ともいわれています。高齢者のうつ病は、落ち込みの気分よりもイライラが目立ち、身体の不調に対するこだわりが強いなどの点で特徴的で、世界的な研究では再発しやすく慢性化しやすいとの結果が出ています。また認知症の初期には約40~50%の人がうつ状態になります。脳卒中の後にはうつ病が起こりやすく脳血管性うつ病とも呼ばれており、25%の方がうつ病に、20%の方が気分変調症になるといわれています。

【うつ病の治療】
 専門の医療機関で治療を行うことでうつ病の期間や症状の程度を軽減し再発を予防することができます。有効な治療法は、①抗うつ薬を基本とした薬物療法、②認知療法、対人関係療法などのうつ病に向いた精神療法、③修正型電気療法といわれています。
 2010年のアメリカのガイドラインでは抗うつ薬は軽度から重度の方全般に推奨されています。精神病症状のある重度の方は抗精神病薬を併用します。抗うつ薬に関しては効果が出始めるまで2~4週間、効果があるかを評価するためには少なくとも8週間かかるため根気よく服用することが必要です。1つの抗うつ薬が中等度以上効果があるのは70%程度ですので、効果が乏しい場合には変薬することが必要となります。
 精神療法は軽度から中等度のうつ病の方が対象になります。認知療法は、うつ病特有の物事のとらえ方、考え方を修正し、悪循環に陥らないようにするための面接による治療です。コラム表などを用いながら、物事のとらえ方や考え方のパターンを言語化していくことが必要になります。
 修正型電気療法は、麻酔により筋肉を弛緩させて頭部に通電をする治療法で非常に効果的ですが基本的1~2ヶ月の入院が必要になります。maintenance-ECTという通院で行う電気療法もありますが、香川県で実施している医療機関はありません。アメリカでは希望するうつ病の方が対象となりますが、日本ではイメージの問題からか積極的には行われておりません。

【治療上の留意点】
 うつ病治療で目標とするべきなのは『寛解』といわれる病的な落ち込みや喜びの喪失が3週間以上みられない状態です。過去のうつ病エピソードよりも不完全寛解の状態の方が再燃するリスクが高いといわれています。薬物療法で数ヶ月経ち寛解に至っても、再燃のリスクが高いため4~8ヶ月は減薬せず薬物療法を継続する必要があります。その後、徐々に減薬をしていきますが、それまでに複数回のうつ病エピソードがある場合には再発予防のために一定量の抗うつ薬の継続的服用をお勧めします。予防的服薬により再発率は半分以下になるとの報告があります。

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