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香川県高松市の心療内科・精神科。全人クリニックです。

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香川県高松市の心療内科 全人クリニック

認知症

【認知症とは?】
 高齢化社会の進行に伴い認知症および認知症の御家族の介護で悩む方が増加しています。現在、日本では160~170万人の方が認知症と診断されており、20年後には300万人を超え10人に1人が認知症になると予想されています。認知症には、(1)アルツハイマー型認知症と(2)脳血管性認知症、(3)その他の認知症と大きく3つに分類されアルツハイマー型と脳血管性認知症で全体の約75%を占めます。

【認知症の症状】
 一般的に『認知症は物忘れの病気』と考えられていますが、それ以外にも多彩な症状が出てきます。
中心的な二大症状の一つは、電話番号や会話、その日の出来事などを忘れて思い出すことができない記憶障害です。このため何度も同じ事を聞いたり約束が守れなくなったりすることが多くなります。二つめは、人物や場所、時間、状況や行動の手順などの把握、理解ができなくなる認知障害です。このため家族を他人のように考えたり、外出先から帰宅できなくなったり、真夏でもセーターを着るなどの普段見られない行動が起こります。食事も詰め込むように食べたり、排泄が上手くできなくなったり、掃除や洗濯ができなくなったりと認知障害による生活機能の低下は衣食住全般に及びます。時折ニュースで報道される高齢者ドライバーの高速道路逆走などはこうした認知障害の一端なのかもしれません。

 記憶障害と認知障害が進行すると更に様々な症状が起こってきます。例えば、脳の機能低下に伴い幻覚症状が起こったり、物をどこに置いたか忘れて『誰かが家に侵入して盗んでいった』と物盗られ妄想が起こることもよくあります。こうした幻覚や妄想は、認知症患者の20~40%にみられます。また、能力の低下や日常生活での支障により認知症患者の40~50%に不安やうつ状態が起こるといわれています。こうした精神症状以外にも徘徊や普段食べないようなものを食べる食行動の異常、物品の収集、怒りっぽくなるといった人格変化などの諸症状が起こり介護困難となっていきます。

【認知症の物忘れか年相応の物忘れなのかの見極め】
 記憶障害に関してご家族ができる簡単な質問をご紹介します。

(1)『昨日の晩ご飯は何でしたか?一昨日の晩ご飯は?』
(2)『現在の総理大臣は誰ですか?その前の総理大臣は?さらにその前は?』

 認知症の物忘れは年齢相応の物忘れと異なり、最近の記憶や記憶の全体を忘れます。認知症の場合、『わからない』と答えをはぐらかせたり、『食べていない』と記憶そのものがなかったり、『吉田茂』などと見当違いの返答になったりすることがあります。

【認知症の原因と治療】
 アルツハイマー型認知症はアミロイドという蛋白が脳に沈着して進行するといわれています。予防のためには『早期発見早期治療』が重要であり、専門性の高い精神科の物忘れ外来などの受診が必要となってきます。近年の統計では自覚的な物忘れのうち5年以内に20%の方が認知症に進行したというデータがあり、定期的に物忘れが進行しないか経過を見る必要があります。1999年販売のドネペジル(アリセプト)に加え、2011年にガランタミン(レミニール)、イクセロン(リバスチグミン)という2種のコリンエステラーゼ阻害薬が販売され、初期から中期のアルツハイマー型認知症の記憶障害、認知障害の進行を遅らせる効果が期待されています。これらは3種類ありますが有効性は30~40%でどれも大差はないと2011年のアメリカでのカイドラインで述べられています。また2011年に作用機序の違う中等度以上のアルツハイマー型認知症を対象としたNMDA受容体拮抗薬メマンチン(メマリー)も販売されアルツハイマー型認知症の薬物療法は選択肢が増えたといえますが、根本的に症状を改善する薬物はありません。

 脳血管性認知症は脳血管の動脈硬化を背景とした多発性の脳血管障害が原因と考えられており、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の悪化を防ぎ『脳梗塞を予防する』ことが重要です。『脳卒中治療ガイドライン2009』では高血圧症は血圧は140/90mmHg未満に、脂質異常症はLDLコレステロールは120以下を目標にスタチン系薬剤およびEPA製剤の併用を、糖尿病はHbA1cを指標にインスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾン(アクトス)による薬物療法を推奨しています。

【認知症の予防】
(1)栄養失調の予防
 不足しがちな肉や卵など動物性蛋白の摂取、義歯の利用・調整などでの噛む力の維持、ビタミンCやEなど抗酸化作用のある栄養素の摂取などを心がけましょう。
(2)生活習慣病の治療
 高血圧、糖尿病、脂質異常症など生活習慣病を治療し脳梗塞予防をしましょう。極端なやせすぎに注意しましょう。
(3)健全なライフスタイル
 禁煙、適度な飲酒、家族や友人との交流、創造的な趣味を持つなどに取り組みましょう。1日30分、3kmを目標に散歩をする習慣を持ちましょう。
(4)専門医の定期的受診
 物忘れを自覚した時には精神科など専門医の診察を受けましょう。認知症の場合、数年間かけて徐々に進行することが多いため、数ヶ月に一度診察や検査を受けることが重要です。

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